agという会社
agは日本の有名オーディオブランドfinalと同じエスネクストという会社が、低価格で他社にはないような製品(主に完全ワイヤレスイヤホン)を作り出しているブランドです。
agの名前の由来は古語の「有り難き」で「めったにない」という意味です。
今回紹介する同ブランドのフラッグシップのKシリーズは古語で「優れた」という意味の「かしこし」からきています。
この名前の付け方はいいと思いますが、だったらブランド名のagは「有り難き」ではなく終止形の「有り難し」と揃えた方が納得がいくのですが…
コンセプトは「マニアのサブ機」
Kシリーズは同ブランドの最上位機種の完全ワイヤレスイヤホンです。
通信方式 | Bluetooth®️ 5.0 |
チップセット | Qualcomm®️ QCC3020搭載 |
再生周波数帯域 | 20Hz〜20KHz |
対応コーデック | SBC, AAC, Qualcomm® aptX™ audio |
対応プロファイル | A2DP, AVRCP, HSP, HFP |
連続音楽再生時間 | aptX™️®️:6時間 SBC/AAC:9時間(ケース込み最大180時間) |
連続通話時間 | 4時間 |
連続待ち受け時間 | 128時間 |
充電時間 | イヤホン本体:2時間/ケース:4時間 |
バッテリー容量 | イヤホン片耳45mAh/ケース2600mAh |
防水性能 | IPX7 |
マニアのサブ機という所以は、高音質コーデックであるaptXに対応していたり、異常に長い再生時間、雨やスポーツ(汗)も怖いものなしの防水性が挙げられます。
総評
音質
finalが全面監修した音だけあって音質はいいです。
高い防水性能と高音質を両立するのは難しいらしいですが、しっかり両立できていると思います。
音質の悪さをカモフラージュするために派手な音傾向になっているというわけでもなく、非常に明瞭で上品な音作りだと思いました。
傾向は中高音寄りのプチドンシャリだと思いました。
価格.comなどのレビューをいろいろ見ましたが、ドンシャリという言葉を使った人は見当たりませんでした。
フラット寄りという人が多いみたいですが、低音もしっかり出ていて高音も刺さることなくシンバルなどの音も印象的でした。
はっきりドンシャリというわけではないので、聴き疲れすることなく楽しく聴けました。
万人ウケしそうな傾向でノリのいい楽曲を上品に聴きたい人向けだと思います。
上品といえば「クラシック音楽」だと思いますが、それを聞くときはもうちょっと解像度が欲しくなります。とはいえ価格を鑑みれば十分です。
デザイン
革シボ調で高級感があり、手になじむ意匠だと思います。ケースが比較的大きくズシンと重みもありますので、より一層の高級感があります。文房具で例えると04kは軸が革で巻かれた万年筆で、某リンゴ会社の製品はラミーのボールペンみたいな感じです。個人的に本製品はオーディオマニアよりも憧れの上司に持っていてほしい完全ワイヤレスイヤホンですね笑
物理ボタンで操作するのですが、その周囲にはゴールドのような色で縁取られています。ボタン操作は利便性が高く、誤操作することもないですし、押したときに耳の穴に押し込まれるようなこともないです。耳の穴に押し込んじゃうという人は耳穴上を避け少し後方を押すと大丈夫です。
イヤホン本体は小さめで耳(外耳)が小さな人も痛くなりにくいと思います。
デザインでは結構好みが分かれるところですが、ボクは高価格帯を含め上位に食い込むほどの出来だと思います。落ち着いていて大人っぽい上品なデザインで音質ともマッチしていると思います。
軽さや小ささを評価する人がいるのも事実ですので、その辺りは注意が必要かもしれません。ですが鞄に入れちゃえばどうってことないし、この製品に限れば手に取った時にむしろその存在感が風格を感じます。
ホワイトがでました!
新カラーのホワイトが出ました。さらにチューニングも変更し、穏やかで自然なサウンドになったと自称しています。
真っ白になって清純さが漂います。一瞥した時の高揚感が持続するインパクトのあるデザインだと思いました(白にしただけだけど)。
利便性
最大180時間の長時間再生
同製品には高容量のバッテリーが備えられており、本体だけで最大9時間、充電ケース込みの最大再生時間はなんと驚異の180時間(apt-x接続ならおそらく120時間)も鳴らし続けることができます。
一般的な完全ワイヤレスイヤホンの再生時間は50~60時間ほどなので3倍近くあることになります。
これはぼくの知る限り完全ワイヤレス史上最長のバッテリー性能だと思います。次点ではAVIOTのTE-D01d mk2の120時間再生できるものが有名ですが、正直こちらでも十分長く、価格設定も近いので音質とバッテリー性能を最重視する方はこの2択になるかと思います。
ちなみにバッテリーに余裕があるのでモバイルバッテリーとして使える機能も備わっています!
バッテリー容量は2,600mAhらしいので理論上iPhone SE2を満充電できるほどです。おまけ機能に見えて意外と実用的。もちろん充電ケース残量に気を遣う必要がありますが。
ただちょっと使いずらいのは端子がUSB-Cなのでケーブルを持ってない人も多くいらっしゃると思います。付属のケーブルはUSB A to Cケーブルなのでスマホの充電はできません。
前述の通りバッテリーのせいか総重量が重めになっています。
コストパフォーマンス
優秀なイヤーピースが付属
これは驚きでした。finalのEタイプはイヤーピース業界では有名ですが、そのEタイプに完全ワイヤレスイヤホンに最適化されたバージョンがこの製品には付属しているのです!しかも全サイズ(5段階)!
このイヤーピースのフィット感は最高です!まるで吸盤のように張り付いて、ジグソーパズルのピースがハマったようなジャストフィットでした。
ちなみに単体でも購入できるのでお持ちのイヤーピースがあってない気がする方は試してみてもいいと思います。
現在Amazonでは販売されていないようです。完全ワイヤレス専用でないバージョンなら売っています。こちらも所有していますが他より柔らかめでかなりいいです▽
ここはダメ!
バッテリー残量が分かりにくい
これは致命的です。アウトです。コンセプトが台無しです。
一応、ケースのバッテリー残量はケースを充電ケーブルでつないでACアダプタなどに接続したときにLEDインジケーターの色で把握できますが、これは充電の進捗を示すためのインジケーターでしょう。
赤:0~10%
黄:10~90%
緑:90~100%
そういうわけで本体をケースに戻した後に「あとどれくらいバッテリー残量があるんだろう」となったときにそれを知る由はありません。
これがどういうことかと言うと、本製品のコンセプトである「マニアのサブ機」としての地位が揺らぐことになり得ると思います。
例えば「オーディオマニア」は本製品よりも上位の(完全)ワイヤレスイヤホンを所有していると思います。その上位のイヤホンのバッテリーが切れたときに、「マニアのサブ機」である本製品の登場です。その時に運悪くちょうどこちらもバッテリーが切れていた場合、「マニアのサブ機」をクビにする人もいるでしょう。
そうならないための大容量のバッテリーじゃないかと思うかもしれませんが、違うのです。
一言で言うと「備えあれば憂いなし」の精神で失格なのです。常にバッテリー残量を把握しているからこそ安心があるのです。
物理学者や数学者の多くはホワイトボードにペンではなく、黒板にチョークを使って思考すると聞いたことがあります。これはペンのインクが切れて思考がストップするのを恐れているからだそうです。
他社の製品でもバッテリーは少ないが残量が確認できれば「サブ機」としての安心は満たされます。要は高バッテリーの性質を生かせていないのです。
ケースに戻し、蓋を閉じたときにLEDを光らせて残量を把握できるようにしてほしいです。
Bluetooth接続時のアナウンスが大きすぎる
ケースの蓋を開けすぐに耳に装着すると接続先の端末の音量にかかわらず、大音量で「Power on! Connected!」と脅かされます。
これはおそらくケースから取り出したら手元で「接続しましたよ」と知らせるための音量設定だと推測しましたが、そこまで接続のスピードが速いわけではないので少し(約2~3秒)待ってから耳に装着するようにしなければなりません。
更に、接続先の端末から離れたとき等に接続が切れ、再度近づいて接続させると耳元で同じく大音量で「Connected!」と同様のことが起こります。
これは設定で変えれたらいいんですけど、なにせアプリに対応していないこともあって諸々の利便性に欠けます。
どっち側に開くか分かりにくい
これは上の二つに比べれば大したことはないのですが、対称性のあるデザインであるのと同時に開け口の引っ掛かりが浅いのでどっち側が開くのかわかりにくいです。
これは改善が難しいかもしれません。う~んデザインって難しい。
あえて言うと充電端子を背面または全面に配置すれば手触りで分かりやすくなると思いました。
あとがき
最後の最後でかなり辛辣な意見を述べましたが、総じてコスパもよく満足できる製品に仕上がっているかと思います。
「マニアのサブ機」というコンセプトは個人的にいい響きなので「かしこし」シリーズはこの路線で続けてほしいです。万人受けしそうな音傾向、超大容量バッテリーなどサブ機っぽい要素が揃っていますが、個人的には「マニアのサブ機」には成りえないと思います。
昨今は4万円越えするような高額製品もよく売れていることを考えると、「マニアのサブ機」というコンセプトはよく考えると、かなりハードルが高いと感じました。それらの製品をメインに愛用しているいわゆるマニアの人にとって本製品には荷が重すぎると思います。
agの製品には他に可愛らしいメインストリームで通用する完全ワイヤレスイヤホンが二機種もあるのでフラッグシップである「かしこし」はもっと振り切っていいと思います。マニアならサブ機に2万円以上でもすぐに出せると思います(体感)ので、多少価格が上昇しても売れると思います。
TWS(完全ワイヤレス)を買おうと思って検索をかけてみると、訳の分からない有象無象が山程出てくる。玉石混交の現状において気軽に買える真っ当なものを出したい
S’NEXT 社長 細尾満 氏 AVwatchリンク
01kから引き継いでいるというこのコンセプト。矛盾していませんかagさん…
いやむしろ社長の仰ったコンセプトの方がしっくりきます。
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